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感性を磨くことは的確かつ効率的に上達を促すものと思います。なぜなら・・・
【ご質問メール】

息子が所属する中学生硬式野球チームについての質問です。チーム創設2年目で、所属するリーグでは、まだ下位のチームです。私自身も、協力の一環でコーチングを担当しています。

技術的には、御世辞にも優れている訳ではないですが、捕球・送球・打撃などの基本動作は向上が見てとられ、実戦で戦える用意は出来あがってきたように思えます。

しかし走塁はというと、リード・進塁への意識が低く、なかなか機動力を発揮出来ずにいます。守備においても、走者を背負った場面での判断ミスや失策が多く、かなりの確率で失点を繰り返しています。

私の考えは、1点でも多くが攻撃。走者としての進塁の手段を学び、想定できるプレーの幅を増やし、得点力を向上。

走者としての力量が備われば、守備においても対走者に対応できる野手に成長するきっかけになると考えています。結果的に無失点を目指す守備に結び付くと思います。投手・捕手も同様です。

野球のレベルが向上していくにつれ、試合中に隙を突く細かい野球は制限されていくと思います。

しかし、知らないからやれないのと、判断の上やらないのとでは、同じ結果でも中身は全く違うと思います。

そういう目線で試合に取り組むには、高い集中力が必要で、きっとボンヘッドも解消されると思います。

試合に勝つために、今自分が出来ることと、出来ないことが明確になり、練習での課題も見つけやすくと思います。

そのほうが技術も身に付きやすいのかな?って気がします。競った試合では、一つの判断が勝敗を分けることも少なくないと思います。

私は選手に、そういう野球の楽しみ方も学んで欲しいです。最後は、捕ること・投げること・打つことに優れた選手が注目を浴び、期待もされるでしょう。

当然、選手はそこを目指して頑張っていくのは当たり前です。技術と同じ位に野球観というのは大切だと思います。

残念ながら、監督初め、当初からのコーチ達とは、そこの部分に関しては意見が合いません。桜井さんは、今までの経験としてどのように考えますか?





【桜井回答メール】

メールありがとうございます。お父さんのための野球教室の桜井です。


私は野球に限らず、スポーツ競技、はたまた勉学においても、そのレベルを向上させていくうえで”感性”というのはとても重要な要素であると実感しています。


私が選手生活で最も後悔しているのは、この”感性”を充分に磨き切れなかったことです。


私がプロに行けなかった原因の根底にあるのは、”感性”を磨いてこなかったことであると自分で分析しています。


ある程度のレベルは感性がなくても、たどり着けます。しかし、それはやみくもにやってきた結果的な達成であって、達成感を得られるものではありませんでした。


もし感性があれば、そのレベルにもっと早くたどり着け、主体的な達成となって得られる達成感も大きくなったのだと思います。


ただ”感性”というのは技術的なものとは違って見えにくく、すぐに効果が確認できるものではありません。


また、”感性”というと教えるものではなく各々で感じるものとして考えられる傾向にあります。そういったことから、”感性”を伸ばすような取り組みは後回しにされたり、敬遠されがちです。


感性があればもっとスピーディーに上達が出来るのにもかかわらずです。


ですから、技術的な指導ももちろん必要ですが、”感性”を身に付けさせてあげることも指導者としての責務であると考えています。


私の選手としての経験や立場から言えば、“感性を身につけさせること”はそれほどむずかしいものではないと考えています。


例えば、あの投手は球が早いけれど、自分のフォームと比べてどこが違うかな?どこが自分と違うところはどこかな?


あのキャッチャーは盗塁しにくいけど、何が良いのかな?肩かな?それとも投げるまでの動作かな?ボールの捕り方かな?

あの野手はエラーが少ないね。どうしてエラーしないのか?自分と比べて何が違うか考えてみようか?

選手から見ればそんな一言でいいんです。そんな一言が欲しいんです。

「あ!そこを見れば良いのか」と気付かせてくれること、これがとても大切なことだと思います。それ以上に伝えてしまうと、手取り足取りとなって”感性”は磨けなくなりますが。

切り口だけを与えてあげて、その後は考えさせてあげる。

またそこから、じゃあこの投手はどうなんだろう、この選手はどうなんだろう、という具合にどんどん派生していきます。

そして次第に自分で切り口、即ち感性を身につけていくことができます。また、見るポイントが明確になれば、集中力も自然とついてきます。

ただ単に「もっと集中しろ!」と言っても、なかなか集中できる子はいません。大人であっても1時間、2時間集中し続けることは並大抵のことではないですから。

これは自分自身に野球経験が無くても可能な指導であり、逆に野球経験がないからこそ、同じ目線に立った切り口を子どもたちに提供できるものでもあると考えています。

私がこの”感性”という部分で他のチームメイトに遅れを感じたのは大学に入ってからのことでした。

ですから早い時期から、こども達が自然と感性を磨く機会を得、それを高めることの大切さというのは身にしみて感じます。

そして子どもたちが成長し、よりハイレベルなステージで野球をする時になって、必ずその取り組みをしてくれたことの有難さに気付くはずです。

ですから決して派手な指導ではありませんが、地道に子どもたちのために取り組んで言っていただきたいと強く願う次第です。