今回のテーマは指導をされている方々にどうしても考えてほしい内容です。
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【ご相談メール】

桜井様

お世話になっております。Oと申します。

DVDを参考にしながら、コーチの自分とがんばった息子が6年生になり、先日、ある大会でピッチャーをしました。

コントロールは他の子供に比べるとかなり良く、キャッチャーの構えたところに8割から9割程度いくようになりました。

しかしながら、体格が恵まれているほうではないので、スピードは遅いのが現実です。

実は、ピッチャーとして先発した大会で、内野のまずい守備もあり、敗退したのですが、そのときの監督の言葉と行動の結果、息子が立ち直れなくなってしまっています。

詳細の試合経過は省きますが、内野のエラーでたまったランナーを相手チームの三番打者に高めの球をランニングホームランされて、

試合の主導権を握れず、その後にきわどいコースをつきながら結果的に出してしまったフォアボールのランナーを内野のエラーや、連携ミス等で追加点を取られてしまったのです。

監督からは、「小学校3年生並みのスピードしかないのだから、低めにコントロールできなければ打たれるんだ。もうピッチャでは使えないな」と発言されました。

結果として、息子は小学校最後の大会を途中交代でベンチにさげられることになりました。

(決してピッチャーだけしかできないわけではなく、サードやショートを守っても他の子に劣ってはいないと思っています。)

そのときに、ベンチでは監督・コーチは息子にねぎらいの言葉をかけることもなく、ベンチで泣いている息子がかわいそうでなりませんでした。

その上、変わったピッチャーがその後の相手チームを抑えたので、試合後の集合時には「今回は指導者の選択ミス。先発を間違えた。申し訳ないな」と全員の前で言われ

息子以外の子供には、エラーを多数してしまった子供も含めて「良くがんばった」とほめている姿にはどうにも納得できないものでした。

息子はしばらくその場を動けず泣いているばかりでした。

息子は、「さげられて情けなく、チームのみんなに申し訳ないと思った」と全員の反省の場で話しているのを聞いて涙が出そうだったのですが、

監督からは「仕方ない。自分の出した結果だから」と、その場でもねぎらわれることがなかったのです。

小学生の子供に、ある意味針の穴を通すようなコントロールを要求して、失投を痛打されたらすべてお前の責任といわれるのは実際どうなのでしょうか。

その上、結果が出なければ指導者のせいと言葉では言いながら、ピッチャー一人に責任を負わせているように見える行動は、指導者としては必要なのでしょうか。

みなの前でお前のせいと言われる息子は、それほどひどいことをしたのでしょうか

正直、息子には野球を続けてもらいたいのですが、このままでは野球が怖くなってしまいそうですし、そうなってはかわいそうなので何とかしてあげたいのです

が、どうしていいか分からずメールさせていただきました。

本来の主旨から外れているかもしれませんが、他に相談する先もなく、誠に申し訳ございませんが、ご回答のほどよろしくお願いします。



【桜井回答メール】


Oさん

お父さんのための野球教室の桜井です。

監督さんがどのような方か、その前後関係、またどのような表情や態度であったかはわかりません。

その前提で、メールを拝見させていただいた私の気持ちを書かせていただきます。

誰でも打たれる時はある、誰でもストライクが入らない時がある、どうしても集中できないときもある、そんな時交代をさせることはあります。

ただ勘違いをしてはいけないのは、選手の交代をするだけが指導者の役割ではありません。

打たれている投手、エラーをした選手、三振をしたバッターを交代させることは誰にでも出来ることです。

大切なのは、交代を告げられベンチに戻ってきた子どもをチームから孤立させることなく、次に踏み出させてあげることを考えるのが本当の指導者です。


■うまくいかなかった子どもをフォローする4つのステップ

私はそのために4つのステップが必要だと考えています。

一つ目は、なぜ交代をしたのか、次にどうすべきかをきちんと説明すること

二つ目は、交代した選手にプレー以外の役割を与えること

この後この試合ではプレーでチームに貢献できなくても、声を出してチームメイトを応援することはできます。ランナーコーチとしてプレーをサポートすることもできます。道具を片づけることも出来ます。

今の自分に出来る精一杯のことを伝え役割を与えてあげることで、チームの中で孤立させず、少しでも失敗を取り返す機会を作ってあげることです。

三つ目は、試合後にプレー以外の頑張りを褒めてあげること

四つ目が、次の練習の時のコミュニケーションです。前の試合ここが残念だったから、もう少し上手になろうな。それだけでいいんです。

ちゃんと見ていてくれている。そう感じさせてあげることで、子どもたちは安心して練習に取り組めるんです。


「使えないな」「指導者の選択ミス」という言葉。子どもたちは指導者の道具ではないし子どもたちの前で使う言葉ではない。

一言で言うと少年野球の指導者としての考え方の持ち主ではない。私はそう思います。

■今に見ていろ

ただ、そんな大人のために野球をやめてしまうことほど悔しいことはありません。そういう言動や態度に小さくなる必要はありません

「今に見ていろ!」です。

この気持ちが上達には必要なんです。この気持ちになったことの無い選手で大成した選手を私は見たことがありません

大学、社会人、プロで活躍する選手は必ずこの気持ちになった選手です。

そしてこの気持ちに応えてくれるのが野球というスポーツなんです。これは励ましでもなんでもなく、事実です。

私もこの気持ちで成長できた一人なんです。

結果が出なった大学時代の前半、大学のOBがやってきた時に挨拶をした時のことでした。

目を合わせて挨拶をしても見て見ぬふり。その直後、その頃活躍していた同級生のチームメイトには、遠くにいるにも関わらず大きな声で呼び、「調子はいいか?」と笑顔でコミュニケーションをとる。

こういうことが何度もありました。

でも「今に見ていろ」ですね。

私がエースになった時、本当に手のひらを返したように「調子はいいか?」と自ら声をかけてくるんです。

心の中では「見て見ぬふり」でしたが「おかげ様で」です。

所詮人間そんなもんです。結果の出ているものには弱く、出ていないものには強い。

その程度なんです。

ですから、息子さんには「今に見てろ」という気持ちが将来活躍するためには必要不可欠なことを伝えて頂きたいんです。

■苦手な人間ほど大きな声で挨拶を

そして苦手だなと思う人ほど、自ら大きな声で挨拶をして欲しいんです。それを繰り返していくと、臆病な気持ちも消えていきます。

小さくなって逃げれば逃げるほど相手との距離は拡がりますし、弱い所を見せないこと、どんどん逆にこちらから攻めていくと結構相手は弱いんです。

ですから、まずは大きな声で挨拶をし、心で「今に見ていろ」という気持ちを持ち続け
来たるチャンスに見返してやりましょう。

そのためにもOさんも気持ちを強く、しっかりと息子さんと”チームO”として支えて上げて下さい。

私たちお父さんのための野球教室も"チームO”をしっかりとサポートさせていただきますので、些細なことでもメールを下さい。

頑張りましょう!


【Oさんからお返事をいただきました】

桜井様

大変お世話になっております。Oです。

心暖まるお返事を頂きまして、目頭が熱くなる思いでございます。

また、お忙しい中、他の方のメールの対応等があるにもかかわらず、このように早くメールを頂きましたことに心から感謝しております。

本来であれば自ら解決すべきことなのに、私の子供を自分の子供のように考えて頂きまして、うちの息子は幸せでございます。

「今に見ていろ!」の気持ちを持たせて、野球で息子が成長できるように少しでもいっしょにがんばりたいと思います。

「チームO」という名称は私の子供のものだけでなく、私が指導者としてがんばっている間は、すべての子供たちのものになるように私自身も気持ちを入れ替えて指導者として成長したいと考えています。

お忙しい中本当ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。



【後記 桜井より】

みなさんはどのように感じ、これからどのような指導者で在りたいと思いますか?