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お父さんのための野球教室の桜井です。

先日このようなご質問をいただきました。


Q:ボールを怖がらなくなる方法はありますか?


小学三年生の母親です。息子は強豪チームに所属しています。野球歴3年ですが、ボールの恐怖心が抜けません

野球は好きで、壁あてをしたり、素振りをしたり、ほぼ毎日練習をしています。

父親も高校まで野球に打ち込み、野球に対する熱意は私が見ていても驚いてしまうほどです。

そして、1年生から野球を始めた息子と時間があれば練習をしています。

しかし、ノックでは顔をそむけてしまう息子の姿に落胆したり激怒したり……。

「ボールが怖いんだったら野球やっても伸びない。やめるか、もっとぬるいチームがいいんじゃないか!おれは、おまえがレギュラーじゃない姿はみたくない。」

と毎回ではないけれど、言い放ってしまいます。

これから、ますます打球は早くなり、硬球になる前に克服しなければ…とやっきになってしまいます。

息子は一人っこでマイペースな面がありますが、ものすごく緊張したり萎縮したり…親の前ではいきがりますが、外では自分を殺してしまうタイプです。

またコーチからも、上手くても心が弱いと言われ、わざと厳しい対応をしていますと言われました。

父親は、ボールが怖い自分と向き合って打ち勝つしかないといいます。

そうなのだろうと思いつつも、息子を追い込んでいるのではないか?と不安でたまりません。

ボールを怖がらなくする方法や言葉かけをご伝授いただけると幸いです。

夫婦でも野球の件で喧嘩をすることが増え、家族間でピリピリしてしまっています。どうぞ、よろしくお願いします。


A:怖い気持ちはなくなりません


私もよく父に「逃げるなっ」と怒鳴られました。腹を立てた父は硬球を至近距離で投げつけてきたのを思い出しました。

お父さんや愛情が息子さんに伝わっていれば良いのですが、息子さんのメンタルが気に掛かります。

「ボールを怖がらなくなる魔法の言葉を教えます」と言いたいところですが、怖いと思う気持ちは誰にも止めることはできないんです。

捕球を上達させるための方法を3つのステップで解説します。


STEP1:ボールから逃げる子どもを褒める


私は怖いと思うことは悪いことではないと思ってます。というのは、ちゃんと状況判断をできているからです。

自分の手に負えない球にぶつかっていくとケガをしちゃいますよね。これはプロの選手でも同じです。自分の力量を超える速さの球が来たら怖いですよ。

だから「逃げるな」って言いたく気持ちを抑えて、「よく逃げた。ナイス判断!」と声を掛けてあげるべきなんです。

プロ野球選手ほどのレベルであっても、正面に速い打球が来たら顔を背けるんです。もう一度強調しておくとプロ野球選手でもです。

怖いのは小学生でもプロ野球選手でも同じで、その違いは「捕れる打球が多いか少ないか」ということなんです。

「上手くなる=ボールから逃げない」ではなく、「上手くなる=捕球技術を高める」と考えることで、指導者も選手も練習が前向きになります。

そして「逃げるな」という声掛けは選手の上達を妨げていることにも指導者は気が付かなければいけません。

「逃げるな」と言われると、選手の頭の中には「ボールから逃げる自分の姿」がイメージされてしまいます。

そうするとイメージに向かって体が動いてしまうので、余計に「ボールから逃げる」行動を取ってしまうこともあります。

そしていつの間にか選手の目標は「ボールから逃げない」ことにすり替わってしまいます。

「ボールから逃げないこと」が目標っておかしくないですか?

選手のやるべきことは「打球を捕って送球すること」です。

「打球から逃げないこと」が目標になると、捕球したときに集中が緩みがちで送球することへの意識が低くなります。

試合では、逃げても打球を捕って走者をアウトにすれば、「ナイスプレー」になります。

なので、ボールから逃げてしまう場合は「ナイスな判断!」と褒めて、「捕球して送球できれば、もっとナイスプレーになる!」と声掛けをしてあげることで、選手は送球までのコンプリート(完成)をイメージするので、捕球だけでなく送球への意識も高まります。


STEP2:正しいグラブの使い方を覚える


ボールが怖いと思う理由は、自分の捕球技術を上回るスピードでボールが飛んで来ると判断するからです。

なので、捕球技術を高めればボールへの恐怖心が少なくなっていくんです。決して打球に向かっていく勇気を持つという精神論では恐怖心は克服できません。

捕球技術を高めるためには、グラブの使い方を上手くする必要があります。

グラブの使い方の上手な選手は、グラブをはめている手の使い方が上手なんです。

なので、グラブをうまく使うために、もう一度手の使い方の基本を学びなおすことから始めてみてください。

手の使い方の基本を学ぶには、スポンジボールで捕球するのがおすすめです。スポンジボールはスポーツ用品店にいけば1つ200円程で購入できます。



(スポンジボールはこんな感じのものです)

スポンジのボールを捕球するのは思ったよりむずかしいんです。

最初は素手でスポンジボールを捕球します。上下左右のいろんなところに投げてあげてください。

素手で捕れるようになってきたら、次はグラブでスポンジボールを捕球してみましょう。

グラブをしっかり開かないとボールを弾いてしまいます。

軟球や硬球だとある程度グラブを開いておけば、ボールの重みでグラブの中にボールがおさまりますが、スポンジボールはグラブを開かないと捕球できません。

素手で捕球したときの感覚を思い出してください。

グラブをしっかりと開いてボールをグラブに収まるようになるまでスポンジボールでの捕球練習を繰り返してください。

通常のキャッチボールに加え、フライのボールやバウンドするボールも投げてあげてください。

以前メルマガでご紹介したグラブ博士の梅原さんも教材の梅原伸宏のグラブマネジメント〜守備力向上プログラム〜のなかで、

親指、薬指、小指を正しく使わず捕球するこどもが多いと警鐘を鳴らしています。

梅原さんいわく、「グラブが地面に立たないなら、正しい指の使い方をしていないグラブの型になってしまっているため、指の使い方を見直す必要があるそうです。

グラブの形から捕球の形を見直すという方法も良いですね。


STEP3:ボールとの距離感をつかむ


ボールが怖いと思うもうひとつの理由は、ボールと自分の距離感をつかめていないことです。

特に自分の正面に向かってくるボールに対して、距離感をつかむことはすごくむずかしいんですね

例えば、強烈なサード正面へのゴロはプロ野球選手でもトンネルをすることがよくあります。

あれは、打球が速くてボールとの距離感をつかみきれていないからなんです。

ボールとの距離感を正確につかむためには、ボールの真正面の位置に自分を置かないこと

ボールを怖がる選手に「ボールは真正面で捕れ!」と指導するケースがよくあります。

すると、打球と目が同一線上にあるため、打球の軌道(速さ)が認知しにくくなり、ボールと自分との距離感がつかめない場合があります。

すると「自分とボールの距離感がつかめないので打球が怖い」繰り返しになってしまいがちです。

なので、ボールの真正面でボールを捕球するのではなく、真正面から少しずらした位置でボールを捕球するアプローチのほうが距離感をつかめて捕球しやすくなります。

少しずらした位置とは、右投げの場合は左足、左投の場合は右足の前で捕球するように意識してみてください。

視線をずらすことで、打球の軌道を斜めから見ることができるので、正面に入るよりも軌道を確認しやすくなり、精神的にも怖さがいくらか軽減されます。

この捕球練習でも最初はスポンジボールで体とグラブの使い方を覚えていくと良いですよ。


まとめ


ボールを怖がる選手の指導方法について解説をしました。ボールから逃げるのは状況判断できている証拠です。

「逃げるな」ではなく「ナイス判断!」と褒めてあげてください。そして、恐怖に勝つため恐怖に慣れるのではなく技術を高めることを第一に考えてあげてください。

捕球の技術を高めるためにはスポンジボールを使って手の使い方を見直し、捕球位置を少しずらして正確な距離感をつかませてあげてください。

また真正面に入らなくても良いという気持ちはボールに対する恐怖心も和らげます。

何度も言うようですが、怖がるのはきちんと状況を判断した結果です。逃げることは決して恥ずかしいことではなく、褒められるべきこと。

打球を怖がることは上達するために必要な能力が備わっているということなんです。