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お父さんのための野球教室の桜井です。

先日このようなご質問をいただきました。


Q:アーム式の投げ方が直りません


是非、矯正方法を紹介した教材を教えて下さい。宜しくお願いします。色々試しましたが、わが子もアーム式の投げがなかなか直らず困っております。


A:アーム式の投げ方を知ることが大切です


アーム式の投げ方を気にする方はとても多く、矯正してあげたいと思う指導者は多いのですが、どのような手順と方法で改善すれば良いか悩まれていると思います。

アーム式の投げ方は「腕を上手く使って投げろ」と言うだけでは改善しません。

「肘をたたんで投げろ」と言われても「もう少し具体的に教えて」というのが子どもたちの本音。

アーム式の投げ方のメカニズムと原因を知って、具体的なアドバイスができるように解説をします。


アーム式の投げ方と良くない3つの理由


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アーム式の投げ方とは、上の写真のように、腕を真っすぐに伸ばして腕を振る投げ方

腕を振るための準備動作であるテイクバックから腕を振るまでの間、腕が伸びた状態のことを言います。

アーム式の投げ方が良くないと言われる理由は3つあります。

1.肘と肩に負担がかかる(ケガのリスクが増す)
2.腕の動きの自由度が高い(制球難になりやすい)
3.打者はボールの位置を確認しやすい(打ちやすい)



アーム式の投げ方は「肘と肩に負担がかかる」


アーム式の投げ方は、テイクバックから腕を振るまでの間、肘の関節と肩に強い力が掛かります。

腕を伸ばし切った状態で腕を振ると、腕を振るスピードとボールの重さによって、肘の関節に力が掛かります。肘が曲がらない方向に折り曲げるような状態です。

また伸ばし切った腕を振ると肩の負担も大きくなります。

気をつけ(直立)の姿勢から、右手の手のひらを上にして腕を伸ばし、斜め45度まで上げてみてください。

これがアーム式で肩が支えている腕の重さです。

次に、その状態から、肘をたたみ、上げている手の甲を右耳にあててみてください。

これがアーム式ではない投げ方の肩の負担です。

手を伸ばしきったアーム式の状態のほうが、肩に力が入って負担が大きいですよね。

このようにアーム式の投げ方は、肘関節と肩に投げた数だけ力が掛かり、ケガのリスクも増すことになります。


アーム式の投げ方は「腕の自由度が高い」


腕の動きの自由度が高いというと聞こえは良いですが、自由に動きすぎる腕の動きは、コントロールを不安定にします。

腕の動きが同じならボールは同じ方向にいくんです。

なので、コントロールを安定させるためには、自由な腕の動きではなく制限のある腕の動きが必要なんです。

制限のある腕の動きはダーツの投げ方がお手本になります。

ダーツの投げ方がわかる美人プロダーツプレーヤーの動画がアップされているので紹介します。

1分17秒からの映像がわかりやすいです。




ダーツはまさにコントロールの勝負です。

コントロールの精度を上げるには、腕をいつも同じように動かすことが大切で、動く部分が少ないほうが有利なんです。

なので、肘を曲げて肘から先を動かす動作のほうが、動く部分も少ないのでコントロールが安定します。肘をセットする位置もわかりやすいですよね。

これは野球の投げ方も同じ

動きの自由度が高すぎるアーム式の投げ方は、腕の軌道が安定しないので、制球難に陥りやすい傾向があるんです。


アーム式の投げ方は「打者が球を見やすい」


テイクバックで伸び切った腕を引き上げてスイングするためには、かなりの力を必要とします。

その力をどこから供給するのは上半身

上半身を扉(ドア)のように横に回転させることで、伸び切った腕を引き上げて振る力を作るんですが、楽に力を出す代償として「体の開き」を誘発します。

体が開くと早い段階で打者はボールの位置を確認してボールが来るタイミングを計れるため、安打される確率が高くなります。

体を開いても腕は上がりにくいため、アーム式の腕の使い方で最も自然なフォームはスリークォーターとサイドスローになります。

なので、「肘を上げろ」と指導して強引にオーバースローで投げさせると、招き猫ロボットのように、肘から上で引っかくような動きになるので良くないんです。

ピッチングとバッティングの基本は、「自分の体の正面を相手に見せない」こと。

自分の体の正面を見せないフォームは、投手であれば、打者に対してボールの出どころを分かりにくくし、強い捻りが生まれてスピードのあるボールを投げることができます。

打者であれば、どんなボールでも構えた場所にグリップが残り、ボールを手元まで引き付けて鋭いバットスイングができるようになります。


アーム式にもメリットはある


デメリットが先行するアーム式の投げ方にもメリットもあります。

ひとつはフォークボールが落ちやすいこと。

ボールの回転が少ないほど、フォークボールの落差は大きくなります。

ボールに回転を与えず投げるためには、ボールの両端それぞれを人差し指と中指で支え、腕の振りでボールに推進力を与えるように投げます。

簡単に言えば、上手くすっぽ抜けをさせるのに伸ばしきった腕の振りが向いているんです。

アーム式の腕の使い方をするプロ野球選手を見ても、フォークボールを得意とする投手が多いんです。

アーム式の投げ方だから、絶対にケガをしたり、制球難になったり、打たれやすいということはありません。

アーム式でない投手もケガをしますし、ストライクが入らないこともあります。もちろんヒットやホームランを打たれます。

日本のプロの投手やメジャーリーガーでもアーム式の投手はたくさんいます。

なので、体の強さや柔軟性など、アーム式の投げ方以外にも要素はたくさんあって、絶対にダメなフォームだとは言い切れません。

ですが、ケガのリスクと技術的に不利な面があるため、可能であれば小学生から中学生の早い時期に修正をしておきたいフォームのひとつです。


アーム式の投げ方になるメカニズム


アーム式の投げ方になる理由は、ダーツの投げ方でもふれたように、「自由に動く腕の使い方」です。

ポイントになる動作はテイクバック。

「両手を使って大きく深呼吸をしてください」

と言われると、大抵の人は、手のひらを上に向け、両肩のラインよりも後ろに腕を伸ばすはずです。

この深呼吸の腕の形がアーム式のテイクバックです。

手のひらを上に向けると、腕が伸びきった状態になりやすく、深呼吸のように胸を張ると腕は背中のほうに入りやすくなります。

アーム式の腕の使い方は、動きが硬く見えがちですが、実は肩の周りの筋肉が柔らかい投手のほうがアーム式になっていることが多いんです。

なので、肩の周辺の筋肉が柔らかい投手が手のひらを上に向け、胸を張ってテイクバックするとほとんどの投手はアーム式の投げ方になります。


アーム式の投げ方を改善する方法3つ


アーム式の投げ方を改善するためのポイント3つ。

1.胸の力を抜く
2.テイクバックは手のひらを下に向ける
3.テイクバックを小さくする



アーム式の投げ方 改善方法1:胸の力を抜く


まず、上半身の力を抜いて胸を張らないこと。

上半身の姿勢を真っすぐにするために、「胸を張って投げろ」と指導する方もいますが、良くない指導だと考えています。

胸を張ることで、テイクバックで腕が背中側に入ってしまうこと、さらに上半身(肩周辺)に力が入るので腕が上がりにくくなります。

「じゃあどうやって真っすぐの姿勢をつくるか」というと、腹筋と背筋の両方に力を入れるんです。

腹筋と背筋のそれぞれに均等に力が入る姿勢が真っすぐな姿勢です。実際に鏡を見ながら姿勢をみるとよくわかります。

あわせて胸を張った姿も見ておいてください。胸を張る=真っすぐの姿勢ではないこともわかるはずです。

胸を張ると腕が動かしにくく、腹筋と背筋に力を入れても腕はスムーズに動きます。

テイクバックで腕が背中に入らず、それでいてスムーズな腕の動きを実現するために、胸は張らず、腹筋と背筋に力を入れてみてください。


アーム式の投げ方 改善方法2:手のひらを下に向けテイクバックする


テイクバックのとき、手のひらが上を向く原因は、そもそもの癖(くせ)であることが多いんですが、気を付けたいのが、グラブへのボールのセットの仕方です。

投球の最初のポジションは、ワインドアップ(振りかぶって投げる)、ノーワインドアップ(振りかぶらない)、セットポジションがあります。

どのポジションでも、ボールを持った利き手をグラブの中にセットします。

このとき手のひら(ボール)がグラブの外側を向くようにセットすると、手のひらが上を向きやすくアーム式の投げ方を誘発します。

グラブの中で手のひらを上に向けてセットすると、次の動作(テイクバック)に移行するときに、引き出しを開けるような「引く動作」が起こります。

引き出しを開けるとき、肘を外側には引かないですよね。必ず肘は背中の方向に引くはずです。

すると、腕は背中の方向へ引っ張られるので、背中側に腕が伸びるアーム式のテイクバックになってしまいます。

なので、グラブにセットした利き手をセカンド方向へきれいにテイクバックするには、手の甲がグラブの外側を向くようにセットしてみてください。


アーム式の投げ方 改善方法3:テイクバックを小さくする


アーム式の腕の動きを改善する最後の方法は、テイクバックを小さくすること。

テイクバックが小さくすれば腕は伸びません。

テイクバックの動作は、ボールを持つ利き手の親指で体の側面(右投手なら右側面の太ももから脇の下)をなぞるように動かしてみてください。

注意点は、投げ方が大きく変わるということ。そのため一時的にコントロールを崩したり、スピードが落ちたりする場合があります。

テイクバックの大きい投手がテイクバックを小さくすると、かなり違和感があります。

なので、まずは「胸の力を抜き」、「手のひらを下に向けてテイクバックする」ことから改善の取り組みを始めて下さい。

それでもアーム式の腕の振りが改善しない場合、テイクバックを小さくする方法でアプローチする進め方が最良です。

アーム式の投げ方についてはこちらの記事も参考になります。


アーム式の投げ方 まとめ


アーム式の投げ方について解説をしてきました。

アーム式の投げ方は、メリットもあるものの、デメリットのほうが大きく、なるべく早い時期に改善をしておきたいフォームです。

アーム式の投げ方になる原因は「自由に動く腕の使い方」で、テイクバック動作がキーポイント

胸を張るのではなく、腹筋と背筋に力を入れて姿勢を維持する。

そして、スタートポジションでは、手の甲がグラブの外側になるよう利き手をセットし、テイクバックで腕が伸び切ってしまうのを防ぎます。

それでも改善しない場合にテイクバックを小さくするアプローチで、アーム式の投げ方を改善してみてください。

アーム式の修正方法はこちらでも解説しています